Typoraのすすめ

Typoraのすすめ .txtから.mdへの転換 私はもともと、仕事でもプライベートでも、メモを残す手段としてテキストファイルを多用していた。世の中にはWordでメモを取る人もいるが、あれはまったく性に合わなかった。Wordファイルはプラットフォームに依存し、ファイルは余計なデータで重く、テキストエディタで開こうとすればバイナリ表示になってしまう。しかもバージョンが違えば互換性も怪しい。 そういった理由から、私は軽くてシンプルなテキストファイルでのメモ運用を続けていた。ただ、やはり文字の強調や階層構造といった、最低限の装飾表現が欲しくなり、テキストエディタでそのまま読めるフォーマットとしてMarkdownにたどり着いた。覚える記法も少なく、すぐに馴染めた。 VS Code重すぎ問題とTyporaとの出会い ところが、Markdownを書くためにVS Codeなどの統合開発環境を使うと、機能が多すぎて書くことに集中できない。2ペイン構成も仰々しく、軽快にメモを取りたい私には合わなかった。テキストエディタに近い感触のMarkdownエディタを探していた時に出会ったのが、Typoraだった。 Typoraは、何よりもそのシンプルさに惹かれた。画面は1ペインで、書いているMarkdownがその場で即座にレンダリングされる。以下の画像からも分かるように、編集画面とプレビュー画面が一体化しており、視線移動やモード切替の必要がない。文書を構造的に書きながら、常に整った見た目を確認できるのが最大の利点だ。 ちなみにCtrl+/を押すと、以下画像のようにレンダリング表示が一時的にオフになり、純粋なMarkdown記法がそのまま見える編集モードになる。構文の確認や、細かな記述の修正をしたいときには便利な機能だ。通常の「書く→見る」の切替と違って、同じペインでモードを切り替えられる点が、Typoraならではの洗練された体験を支えている。 メモだけで終わらない:実用的な文書出力 用途としてはメモが中心だが、それにとどまらない。Markdownでそのまま技術文書やドキュメントを書き、TyporaからPDF・HTML・EPUBなどに美しくエクスポートできるのも魅力だ。見た目も整い、軽量で、実用と美しさが両立する文書を誰でも作れる。PDF出力したサンプルを以下に示す。 📄 PDF出力されたサンプル Typoraは高コスパの買い切り型エディタ Typoraは14.99$と有料だが、これで永続ライセンスである。今後も妙なエディタでストレスを抱えながら書き続けるくらいなら、この一度の投資で済ませる方が合理的だ。安い。 誰に勧めたいかと問われれば、すべての「文章を書く人」だ。特に、技術文書を書く開発者、知識管理をMarkdownで行う人、日々の記録を手軽に残したい人には強く推せる。 🌐 公式サイト:typora.io シンプルなUIと軽快な動作、そして買い切りライセンス。公式ページから詳細な情報やスクリーンショットも見られるので、気になったらぜひ覗いてみてほしい。 Typoraへの唯一の要望:Asciidoc対応 不満はほとんどないが、強いて言えばMarkdown自体の限界は感じている。Markdownにはプラットフォームごとの方言が多く、また標準機能が貧弱なため、カスタム拡張で乱立しているのが現状だ。その点、Asciidocのようなより強力な記法に興味はあるものの、Typoraのように1ペインで快適に使えるAsciidocエディタがないため、移行をためらっている。TyporaがAsciidocにも対応してくれたら、それが唯一の要望だ。 書くことに集中できる数少ないエディタ 優れた道具は手になじむ。それだけではなく、使っていること自体が誇らしくなる。──Typoraはまさにそんな道具だ。 Typoraは「余計なものがない」ことを美徳としながらも、実用性は非常に高い稀有なツールである。文章を書くこと自体を快適にしてくれるこのエディタは、私の思考と記録の中核に今や欠かせない存在となっている。

May 9, 2025 · 1 min