IBT試験の拡がりと課題|自宅受験の可能性と現実
IBT試験の拡がりと課題|自宅受験の可能性と現実 はじめに|試験はどこまで“自由”になれるか かつては、試験とは「年に一度、遠くの試験会場まで行って、紙とペンで受けるもの」だった。しかし、CBT(Computer Based Testing)の導入により、私たちはようやく「時間と場所の制約」から解き放たれつつある。なお、CBT試験の増加による利点については、以下記事に記してある。 CBT試験の増加希望|受験機会の拡大と技術者不足対策としての意義 そして今、さらに自由度を高める新たな形態――**IBT(Internet Based Testing)**が注目されている。自宅や職場で受験ができるIBT方式は、果たして“試験の未来”となり得るのだろうか? IBTとCBTの違い 観点 CBT IBT 会場 テストセンター 自宅や職場など 機材 会場設置のPC 自分のPC 監督 現地監督者あり オンライン監督(AI+人) 例 ITパスポート、電験三種など ビジネス実務法務検定など 日本におけるIBT方式導入の現状 ビジネス実務法務検定2級・3級:CBT方式の他に、IBT方式の提供有り。 順次追加中 IBT方式のメリットと可能性 完全に自由な時間・場所での受験が可能。 地方・海外在住者でも公平な試験機会。 試験会場の混雑や交通トラブルを回避。 障害者や育児中の人など、多様なライフスタイルに対応可能。 IBT導入の課題と制約 本人確認の厳格化が必要(顔認証、身分証提示、AI監視など)。 不正行為(カンニング)対策の技術的困難。 通信環境やPC機材の整備格差が障壁となる。 手書き問題・実技試験との相性に課題。 自宅受験の意外なハードル:部屋が“見られる”というプレッシャー IBT試験では、自宅のPCとWebカメラを使って試験を受けることになるが、これが意外にも心理的ハードルになることがある。「部屋が汚いから受けられない」「背景に生活感が出すぎるのが恥ずかしい」といった声は、SNSや検索ワードにも頻出する。 とくに日本では「部屋=プライベート空間」であり、それを試験監督やAIプロクターに見せること自体に抵抗を感じる人が多い。また、部屋の壁にポスターや本棚がある場合、「不正を疑われないか」と不安になるケースもある。 対策例: 簡易的な背景スクリーン(折りたたみ式)を使う Web会議用の背景ぼかし機能を併用(許可されている場合) 清潔感のある一角だけを整理し、カメラを固定 コワーキングスペースやテレワークブースの活用 このように「部屋が汚いからIBTを諦める」必要はない。実際には、受験環境に必要なのは“清潔さ”よりも“映像と音声の明瞭さ”と“誠実な態度”である。 今後の展望|IBTは“当たり前”になるか Webカメラ監視やAIプロクターの技術向上により普及が加速する可能性。 CBTとIBTのハイブリッド運用(例:選択可能)が現実的な移行モデル。 「いつでも・どこでも受けられる試験」が当たり前になる社会へ。 筆者の視点|IBT試験をいつ受けられる? 筆者自身は、CBT試験は複数回経験しているが、IBT試験はまだ未経験である。今後、IBTによる自宅受験がより整備されてくれば、ぜひ試してみたいと考えている。 CBTの次のステップとして、IBTがどこまで進化するのか。今後の動向に注目しつつ、自らの受験体験も引き続き記録・発信していきたい。 メモ(メリット・デメリット) 心理的抵抗:検索するとネガティブワードがサジェストされる(部屋が汚い、カンニング等) 世代間により抵抗があるかも:30代以上のネット世代は、ネット経由で顔を出すなど、個人情報の提供に極度のおそれ(動画配信世代ではないため) 端末性能の違い:カメラ等同時稼働により、性能が低い端末での受験保証をどうするか 活用及び提携:コロナ禍で流行った、駅前のテレワークブース等を利用 カンニング等の問題が多くなれば、今後、IBT試験で取得した資格そのものも信頼を失う恐れ