日本機械学会の機械工学事典と「PHPの残念さ」について

日本機械学会が提供している「機械工学事典」という立派なコンテンツがある。専門家が執筆した質の高い記事が並び、情報資産としては極めて価値が高いはず……なのだが、いざアクセスしてみると、ほぼ確実に「Too Many Requests」エラーに遭遇する。

「えっ、そんなにアクセス集中してるの?」「今どきバズってるの?」「受験生が殺到してる?」──と思ったが、どう考えてもそんなことはなさそうだ。

ふとURLを確認してみると、拡張子が「.php」。なるほど、もしかしてこれ、各ページ(あるいは各用語)の内容をデータベースに登録しておいて、アクセスのたびにPHPが動的にページを生成してるのではないか?と気づいた。

……アホか。

動的生成に潜む“無駄”

Web制作にそこまで詳しいわけではないが、自分でブログを立ち上げるにあたり、いろいろな方式を調べた結果、現在はSSG(Static Site Generation)というスタイルに辿り着いている。

SSGにした理由は明確だ:

  • Markdown形式で手元にコンテンツを保管できる
  • CMSのように中身を他人に“握られない”
  • ソフトウェアやサービス終了のリスクに備えられる
  • SSG + CDNで爆速表示・低コスト・高セキュリティ

昨今、livedoor BlogやYahoo!ジオシティーズなどが次々とサービス終了し、貴重な情報資産がインターネットから消えていく現実を目の当たりにしてきた。動的生成・CMS依存の限界を肌で感じた結果、静的コンテンツの価値に気づいたのだ。

なぜ専門学会の事典が“動的”なのか

日本機械学会のような権威ある機関が、なぜいまだに動的生成を選んでいるのか? もちろん内部事情はわからない。しかし、もし仮に「用語と内容をDBに登録→PHPで動的生成」という構成になっているのだとすれば、それはあまりにも“非効率”だ。

  • アクセスのたびに処理が走る
  • 不必要にDBに負荷がかかる
  • CDNキャッシュも効きにくい
  • 障害時の復旧性も悪い

仮に用語や定義の更新がごくまれであるなら、最初から静的HTMLで出しておけばいいのでは? 学術コンテンツこそ、静的に保守して長期保存すべきだと思う。

静的運営は“環境にもやさしい”

最近では、Webサイトの処理負荷やエネルギー消費もSDGs文脈で語られ始めている。PHPで毎回生成するよりも、静的にビルドしてCDNで配信するほうが、サーバ負荷も電力消費も少ない。素人なりに思うのは、「企業サイトの大半や、更新頻度の低いコンテンツは、SSGで十分なのでは?」ということだ。

なお、静的サイト運用が環境負荷の低減やSDGsへの貢献にもつながるという観点については、以下の記事でより詳しく掘り下げている:

まとめ

日本機械学会の機械工学事典は、内容は素晴らしいのに、技術的な実装で“損をしている”ように見える。Too Many Requestsに出会った瞬間、「これは情報資産として致命的だ」と思ってしまった。PHPが悪いという話ではなく、「コンテンツの性質に合わない技術選定」が問題なのだ。

せっかくの知識資産。静的に、軽やかに、未来へ受け渡してほしいと、強く願う。

URL構造の貧弱さが知識の流通を妨げる

さらに深刻なのは、この構成では「知識のリンク性」が極端に悪くなる点だ。doku.php?id=c03 のようなURLでは、内容が一切わからず、リンクとしても非常に不親切だ。

事典コンテンツは、他の学術文献や教材、解説ブログなどから引用・参照されて初めて“生きた知識”になる。しかしこの構成では:

  • 共有されにくい
  • 意味が伝わらない
  • 検索エンジンに評価されない

つまり、知識を展開するための基盤として、根本的に不適切なのだ。

学会として「公開する」ことは重要だが、それ以上に、「共有・展開される」ための設計が不可欠である。