ブログ運営において「Google Analytics(GA)」を活用している人は多い。しかし、それは本当に必要な分析なのだろうか? GAは確かに高機能だ。ユーザーがどこから来て、どのページを見て、どれくらい滞在したか──そうした詳細なデータが得られる。でも、それはラーメン屋にたとえれば、「客がどこに座って、どこを見て、どんな順番でメニューを眺めたか」くらいの話でしかない。
それよりも重要なのは、もっとシンプルなことだ。「何人が来たのか?」「ラーメンを美味いと思ってくれたのか?」「また来てくれたか?」──つまりGSC(Google Search Console)を見るべきだという話だ。
ラーメン屋の例で考えるWeb分析
たとえば、あなたがラーメン屋をやっているとしよう。
- 立地や看板が目立てば、お客は入ってくれる(=検索表示・クリック)
- ラーメンの味がよければリピーターになる(=記事の中身)
- メニュー表の配置や目線誘導も多少は効果がある(=内部リンク・CTA)
だが、個人でラーメン屋を経営しているなら、最初にやるべきことは明白だ。
- ラーメンの味を改良する
- 新しいトッピングや限定メニューを試す
- SNSや口コミで認知度を上げる
**「店に貼るポスターの位置を3cmずらすと、どのくらい注文が変わるか?」**なんて考えるのは、たぶん最後の話だ。それがGAでよくやられる「導線の最適化」「ボタンクリック率の比較」などに相当する。
見かけPV/クリック──シンプルで本質的な指標
私が考案した指標に「見かけPV/クリック」というものがある。
これは、
- **クリック数(=検索から来た人数)**と
- PV(=全体のページビュー)
を比較する、単純な比率だ。
この指標を見ると、以下のようなことが分かる:
- ブログがリピーターを獲得できているか?
- 記事同士の回遊性があるか?
- **見かけ上のPVの水増し(SNS・ブクマ)**が起きているか?
GAで細かく滞在時間やセッション数を追うより、この1つの指標で「伸びているか・縮んでいるか」が感覚的に見えてくる。何より、操作が不要で、見るだけで意味が分かる。
GAで見えないもの──“失われた読者”
GAの最大の弱点は、「いま訪れている人」しか見えないことだ。
- 昔は毎日見に来ていた人が、いつの間にか来なくなった
- 広告がうるさくて離脱した
- 1ページだけ見て満足し、もう訪れなくなった
こうした「失われた読者」はGAには出てこない。GAが優れているのは事実だが、その優秀さゆえに、“いま目に見えるものしか分析対象にしない”という罠がある。
GSCなら、検索表示やクリック数の変動を通じて「以前より検索されなくなった」「CTRが落ちてきた」といった兆候がシンプルに見える。
本当に見るべきものは何か
「GAを使って動線を改善しよう」という言葉は、現代のブログ運営界隈では一種の呪文のように使われている。だが、“味が微妙なラーメン屋”が、ポスターの貼り方だけ工夫してもリピーターは増えない。
ブログも同じだ。コンテンツが良くなければ、どんな分析をしても虚しい。分析は必要だが、その順番を間違えてはいけない。
- 記事の質(味)
- 認知と検索流入(立地・看板)
- 内部リンクやデザイン(導線)
- 最後に広告や収益化(トッピング)
これが自然な順番だ。
GSC中心主義のススメ
特に、個人ブログや小規模サイトの場合、分析は軽く・本質的に行うべきだ。GSCで表示回数とクリック数を見て、検索ワードに対してどんな記事が届いているかを知る。
そして「クリックした人が、何ページ読んでくれたか(=見かけPV/クリック)」を定期的に確認する。それだけで十分だ。分析が記事執筆の邪魔になってはいけない。
分析の罠にハマる前に、ラーメン屋を思い出してほしい。大切なのは、まずラーメンをもっと美味しくすることなのだから。