製造業や技術職に従事する者にとって、法律は“他人事”ではない。とくにBtoB取引に関わる技術者は、知らぬ間に法律違反の一端を担ってしまうリスクすらある。本記事では、技術者が最低限理解しておくべき6つの法律を簡潔に紹介する。
1. 製造物責任法(PL法)
製品の欠陥によって他人に損害を与えた場合、企業は損害賠償責任を負う可能性がある。設計や検査に関わる技術者にとって、品質や安全性の管理はこの法律と密接に関係する。
2. 下請法
開発委託や部品の外注といった場面では、親事業者の立場にある企業が法的な義務を負う。不当な仕様変更や短納期の押し付けなど、技術者の判断が違法行為に繋がることもある。
3. 不正競争防止法
設計図、試験データ、製造ノウハウなどは“営業秘密”に該当する場合がある。外注先への技術資料の提供や、退職時の持ち出しに注意が必要である。
4. 輸出管理(外為法)
海外との取引においては、図面データの送信や技術指導が「みなし輸出」に該当することがある。先端技術や安全保障に関わる分野では特に慎重な対応が求められる。
5. 労働法
技術部門であっても、36協定、時間外労働、裁量労働制といった法制度を理解しておく必要がある。管理職に就く技術者には、部下の労働環境にも法的責任が及ぶ。
6. 景品表示法
製品の性能や品質を過剰にアピールした場合、誇大表示とみなされ違法となることがある。展示会のパネルや営業資料の表現にも注意が必要である。
おわりに
以上の6つの法律は、法務部門だけでなく技術者自身が理解しておくべき基礎知識である。今後、本ブログではそれぞれの法律について、実務視点から掘り下げた記事を順次公開していく予定である。