Ankiのすすめ ― 忘却に抗う最強の学習ツール
もう覚えられない、と感じたことはないか
どれだけ時間をかけて勉強しても、数日後には驚くほど内容を忘れてしまう。そんな経験は、多くの人にあると思う。人間の脳は、放っておくと本当にすぐに忘れてしまう。
自分は昔からそういうのが気になって、大学受験のときに「エビングハウスの忘却曲線」を本で読んで知った。知ったのはいいが、当時はスマホもない時代で、全部手作業で管理しようとしていた。ノートの右上に日付を書いて、「このノートは3日後、7日後、14日後に見返す」みたいなスケジュールを作って、ファイルで管理していた。でも、これがとにかく手間で、しかもやっていても途中で見返し忘れたりして、結局途中でやめてしまった。
今の時代、そんな煩わしいことを自動的にやってくれるツールがある。Ankiだ。
30代からの勉強と、Ankiの効果
他の記事でも、30代になってから資格学習を始めたことを書いたが、大学受験・大学時代の学習から時間が経っており、記憶力の衰えに不安を感じていた。「20代の頃より覚えが悪くなっているかもしれないな」と思いながら、何か補助になるツールはないかと探していてAnkiに出会った。
やはり科学的に理にかなった学習方法というのは効果が凄まじく、さほど苦労せずに記憶の定着化が進んでいる。Ankiを使い始めたのが、2024年7月2日で、現在は2025年5月12日。あと2か月ほどで1年になる。現在のAnkiカード枚数は以下図の通り。効果が目に見えて感じられるので、飽きずに続けられている。
Ankiの習慣化
今では、朝起きたらAnkiを開いて復習するのが完全に習慣となっている。強制的に学習しなければいけないカード数が表示されているので、翌日にスキップした時のノルマのプレッシャーを感じると、朝に優先してやらなければならないと感じている。これに慣れたら、むしろ復習しないと一日が始まった気がしなくなった。連休のときも「今日はAnkiやらないといけないから、遠出はやめとこうかな……」と思ってしまうくらいで、自分でもちょっと中毒気味だと思っている。
入力が面倒? でも結局それが一番ラク
おそらく、Ankiの使用に一番躊躇う点があるとすれば、いちいちカードを作ってインプットしていく点だろう。自分も最初は面倒に感じた。けれど、やってみると意外と気にならなくなる。むしろその入力作業が学習になっていて、「あとでこれを思い出すときに役に立つな」と思いながらカードを作っている。
大学時代に経験したのは「一夜漬けで乗り切ったけど、半年後にはきれいに忘れている」というパターン。これを何度も繰り返してきた。そういう学び方は、結局将来に残らない。Ankiはそういう“学び捨て”を防いでくれるツールだと思う。
少し手間でも、一度カードを作れば、あとはAnkiがスケジュールを管理してくれる。自分で日付を書いていた頃と比べると、雲泥の差だ。
Ankiは、未来の自分への投資
これからAnkiを使ってみようかなと思っている人には、「とりあえず一週間だけでも使ってみて」と伝えたい。使えばすぐに「これは手放せない」と思うようになるはずだ。
記憶に自信がない、何度やっても覚えられない、でも本気で何かを身につけたい——そう思っている人にこそ、Ankiは向いている。
忘れるのは仕方ない。でも、思い出せる仕組みを持っていれば、それで十分だ。Ankiはその仕組みをくれる、頼もしいアプリだと思っている。